彼方は固より闇の中に人あることを知らざれば、何に心を置くべくも無く、御仏の前に進み出でつ、いとつゝしましげに危坐かしこまりて、数度あまたゝび合掌礼拝がつしやうらいはいなし、一心の誠を致すと見ゆ。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)