十把一束じっぱひとからげ)” の例文
なおなおとどまる気になった。あんな獰猛どうもうもこっちさえ強くなりゃちっとも恐ろしかないんだ、十把一束じっぱひとからげに罵倒するくらいの勇気がだんだん出てくるんだと思った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
京の活動を七条の一点にあつめて、あつめたる活動の千と二千の世界を、十把一束じっぱひとからげに夜明までに、あかるい東京へし出そうために、汽車はしきりに煙を吐きつつある。黒い影はなだれ始めた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)