円屋根ドーム)” の例文
旧字:圓屋根
寺院の円屋根ドームはこの橋の上からながめるほど、すなわち礼拝堂まで二十歩ばかり隔てた辺からながめるほど鮮やかな輪郭を見せる所はない。
教会の金の円屋根ドームがひかった。月の光のとどかない暗い隅で、研屋の男の廻り砥石と肉切庖丁との間から火花が散り、金ものの熱する匂いがした。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ローマン・カソリックの円屋根ドームの鐘が午前三時を打った。米良は電報を開いて読んだ。シイ・ファン・ユウが早朝天津から香港に向けて出発する知らせであった。
地図に出てくる男女 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
このパロットが一八二九年の九月二十七日「永遠の氷が形づくる円屋根ドーム」に立ったのである。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
町へ近づいた時、私は我国の議事堂に似た円屋根ドームを持つ、大きな建物があるのに気がついて、如何にも国へ帰ったような気がしたが、聞いて見ると事実これは蝦夷の議事堂だった。
往来を隔ててあちら側の丘の上にある基督救世主寺院フラム・フリスタ・スパシーチェリヤの金の円屋根ドームから春の光が照りかえした。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ところで、このマシーフから峯が二つ立ち上っている、その高い方が大アララットで、高さ一万七千呎——「大きな、肩幅の広い塊で、円錐コーンと呼ぶよりも寧ろ円屋根ドームと言いたい」
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)