入墨者いれずみもの)” の例文
銭がいやなのではない、遊びが面白くないのではない、みんなこの額の刻印が、自分というものを刑余の入墨者いれずみもの同様な、卑屈な日蔭者にしてしまったのだ。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
親の金を蕩尽とうじんして逃げて来た極道者も、おととい牢屋から出て来た入墨者いれずみものもいるが——それが弥次兵衛という戸長のもとに、大家族式な生活を営み、ざッかけない、あらっぽい
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
松之助は入墨者いれずみものです。
半七捕物帳:64 廻り灯籠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「こりゃ甲州無宿の入墨者いれずみものだ、この入墨者を峠から一足でも甲州分へ入れた日にゃあ、こっちの首が危ねえ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)