停車場側ていしやぢやうわきに立つて車を待つ間、夫人はお鶴の前に近く居ながら、病院のあるといふ場処を大凡おほよその想像で見当あたりを附けて見た。二筋の細い道が左右にあつた。
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)