高木の右に梅子が坐って、父の左に令嬢が席を占めた。女同志が向き合ったごとく、誠吾と代助も向き合った。代助は五味台クルエット・スタンドを中に、少しななめに反れた位地から令嬢の顔を眺める事になった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)