九霞山樵きうかさんせう)” の例文
何処どこか寂しい町の古道具屋の店に、たつた一幅売り残された、九霞山樵きうかさんせうの水墨山水——僕は時時退屈すると弥勒みろくの出世でも待つもののやうに、こんな空想にさへふける事がある。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
東海の画人多しとは云へ、九霞山樵きうかさんせうの如き大器又あるべしとも思はれず。されどその大雅たいがすら、年三十に及びし時、意の如くの進まざるを憂ひて、教を祇南海ぎなんかいに請ひし事あり。