中宿なかやど)” の例文
なお母の話によれば、舟を下りてから吾々は中宿なかやどの稲本家というに立ち寄り、叔母はそこで衣裳を改めたのだ、と云うことである。
御萩と七種粥 (新字新仮名) / 河上肇(著)
両国広小路の人混みを離れた一人の大男、三歳みっつばかりになる男の子を十文字に背負って、極彩色の花の中宿なかやどの日傘をさし、両国橋のたもとまで来て
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今一つの記憶は、これももう老婆になっている親類の家内が、嫁に来たときには私の家を中宿なかやどにした。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)