一力いちりき)” の例文
その料理店の名はたしか一力いちりきとか云いました。すべてがぼんやりして思い出すとまるで夢のようであります。
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それからゴーホを煮しめたとでも云ったしょうな「深草ふかくさ」や、田舎芝居の書割かきわりを思い出させる「一力いちりき」や、これらの絵からあらを捜せばいくらもあるだろうし
帝展を見ざるの記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
祇園一力いちりきへの身売り道中にさせられてしまったことには、笑っていられないものがありました。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
従ってその一力いちりき楼は、京都でなく両国の川べりであるらしい気がした。しかしそんな事が芝居としては問題にもならず、何かさらさらとして意気な忠臣蔵だと思えただけであった。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)