“ふかじょう”の漢字の書き方と例文
語句割合
孵化場100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
孵化場ふかじょうから今帰りがけのところとみえて、彼が近づくと生臭い香いがあたりに香った。ぼんやりした黒い影が清逸の後ろに突っ立った。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
一、ココナットから象が出る馬耳塞マルセーユの朝景色。マルセーユの旧港ヴィユ・ポール。——この四角な、ます孵化場ふかじょうのようなもののなかには、あらゆる船舶の見本と、あらゆる国籍が詰め込まれている。
清逸はしんとした心の中で、孵化場ふかじょうあたりから来るらしい一番鶏の啼き声をかすかに聞いたように思った。部屋の中はしかし真暗闇だった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
彼は首をすくめ、ふところ手をしながら、落葉や朽葉とともにぬかるみになった粘土質の県道を、難渋なんじゅうし抜いて孵化場ふかじょうの方へと川沿いをさかのぼっていった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)