みち――ある妻の手紙――――あるつまのてがみ――
まだ九月の聲はかゝらぬのに、朝夕のしんめりとした凉しさは、ちようど打水のやうにこの温泉場の俗塵をしづめました。二三日このかたお客はめつきりと減つて、あちこちの部屋にちらりほらりと殘つてゐる浴衣の人は皆申し合せたやうにおとなしくしてゐます。煙 …
題名が同じ作品
(新字新仮名)織田作之助 (著)
(新字旧仮名)石川啄木 (著)