鴻ノ巣女房こうのすにょうぼう
隣りの紺屋の婆様から、ぎんはこんな昔語りをきいた。 或る山の中に男が一人小屋がけをして住んでいた。働いても働いても食うに事かく有様で、おのれの行末を考えては心細がっていた。或る晩大風があってほうぼうの大木が倒され畠の粟や稗がみんな吹きこぼれ …