巣離れの鮒すばなれのふな
寒い冷たいとはいうが、もう春だ。そろそろと水が温んでくる。川や沼の面に生色ある光がただよって、いつの間にか堤防の陽だまりに霜ぶくれの土を破って芝芽が小さな丸い頭を突き出すと魚も永い冬の蟄居から眼ざめるのである。鮒は晩秋水の深みに落ち込んで腐 …