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海鼠壁
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なまこかべ
ふりがな文庫
“
海鼠壁
(
なまこかべ
)” の例文
土蔵の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
を掘って、土台上を厳重に固めた、栗の角材を
鋸
(
ひ
)
き切った仕事は、宵の花火騒ぎにでも紛れなければ出来ないことです。
銭形平次捕物控:041 三千両異変
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
向うに見える唐津様の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
には、何時か入日の光がささなくなつて、掘割に臨んだ一株の葉柳にも、そろそろ暮色が濃くなつて来た。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この評定所と申しますのは、
竜
(
たつ
)
の口の
壕
(
ほり
)
に沿うて
海鼠壁
(
なまこかべ
)
になって
居
(
お
)
る処でございますが、普通のお屋敷と格別の違いはありませぬ。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その左側に
海鼠壁
(
なまこかべ
)
を持って、その背後に影法師を曳いて、そうして半身を月光にさらして、腰から下を
茫
(
ぼう
)
とぼかして、浪人は先へ歩いて行く。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
俥
(
くるま
)
が
霞
(
かすみ
)
ヶ
關
(
せき
)
へ
掛
(
かゝ
)
つて、
黒田
(
くろだ
)
の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
と
云
(
い
)
ふ
昔
(
むかし
)
からの
難所
(
なんしよ
)
を
乘
(
の
)
る
時分
(
じぶん
)
には、
馬
(
うま
)
が
鬣
(
たてがみ
)
を
振
(
ふ
)
るが
如
(
ごと
)
く
幌
(
ほろ
)
が
搖
(
ゆ
)
れた。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
この図中に見る
海鼠壁
(
なまこかべ
)
の長屋と
朱塗
(
しゅぬり
)
の
御守殿門
(
ごしゅでんもん
)
とは去年の春頃までは
半
(
なか
)
ば崩れかかったままながらなお当時の
面影
(
おもかげ
)
を
留
(
とど
)
めていたが、本年になって内部に立つ造兵廠の煉瓦造が取払われると共に
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
土蔵の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
は、あの通り見事に切り抜かれているのに、泥棒が鍵を盗んで入りはしないかという問が、あまりに
迂闊
(
うかつ
)
だと思ったのでしょう。
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大名屋敷の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
に添って、肩のあたりを月光に濡らして、二人の供に前後を守らせ、歩いて行く美作の
背後
(
うしろ
)
姿が、曲がって見えなくなった時まで目送をしていた桃ノ井兵馬は
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
向うに見える
唐津
(
からつ
)
様の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
には、まだ赤々と入日がさして、その日を浴びた一株の柳が、こんもりと葉かげを蒸してゐるのも、去つて間がない残暑の思ひ出を新しくするのに十分だつた。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
折もよく
海鼠壁
(
なまこかべ
)
の芝居小屋を過ぎる。しかるに車掌が何事ぞ
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
藤三郎の顏には、
皮肉
(
ひにく
)
な薄笑ひが浮びました。土藏の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
は、あの通り見事に切り拔かれて居るのに、泥棒が鍵を盜んで入りはしないかと言ふ問が、あまりに
迂濶
(
うくわつ
)
だと思つたのでせう。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“海鼠壁(なまこ壁)”の解説
生子壁/海鼠壁/なまこ壁(なまこかべ)とは、土蔵などに用いられる、日本伝統の壁塗りの様式の一つで、その壁をも指す。生子/海鼠/なまこともいう。壁面に平瓦を並べて貼り、瓦の目地(継ぎ目)に漆喰を蒲鉾形に盛り付けて塗る工法によるもので、目地の盛り上がった形がナマコ(海鼠)に似ていることからその名がある。
(出典:Wikipedia)
海
常用漢字
小2
部首:⽔
9画
鼠
漢検準1級
部首:⿏
13画
壁
常用漢字
中学
部首:⼟
16画
“海鼠”で始まる語句
海鼠
海鼠腸
海鼠塀
海鼠板
海鼠釉
海鼠餅
海鼠形
海鼠襟
海鼠色
海鼠台場