かれ)” の例文
高い桜のかれ枝を余念なく眺めて居た女は、急に三四郎の方を振り向く。あら喫驚びつくりした、ひどいわ、といふ顔付であつた。然し答は尋常である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……たった一人で寝起きをしている村外れの茶屋のかまどの前で、痩せかれた小さな身体からだ虚空こくうを掴んで悶絶していた。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
玉を烹たるもの、そのゆゑをきゝかまふたひらきればすでに玉はなかばかれたり。其たまわたり一寸ばかりこれしん夜光やくわう明月のたまなり。俗子ぞくしやくせられたる事悲夫かなしきかなしるせり。
なるほど、わかなひめけつこう、こゝへさつし。「へいこれでござります。「イヤこれは助高屋すけたかやものできれいごとだと思つたら、ごみとかれで、梅幸おとはや世話物せわものでつかひさうだ。 ...
狂言の買冠 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しぼんだはなのとれぬうちにしりまがつてたちまちにつるもがら/\にかれしまつたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
睨み隨分ずゐぶんしばらつしやい私はやせてもかれても三石八斗八升の御田地でんぢもち水呑村の三五郎と云殿樣の御百姓で御座りますはゞかりながら然樣さやういふうしろぐらい片贔屓かたひいきな御さばきは見た事が御座らぬと云うにぞ理左衞門堪へ兼イヤかれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼方のはたけには、ひょろひょろとしたかれた木が立っていた。
過ぎた春の記憶 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いきふかき弧燈アアクとうかれくさのそのなげけば
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ふぐ干やかれなんねぎの恨み顔 子英
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
玉を烹たるもの、そのゆゑをきゝかまふたひらきればすでに玉はなかばかれたり。其たまわたり一寸ばかりこれしん夜光やくわう明月のたまなり。俗子ぞくしやくせられたる事悲夫かなしきかなしるせり。
かれ雀枝すゞめえだることは何處どこはやしでも持主もちぬし八釜敷やかましくいはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これを奇なりとおもふに、此田の中にかへる蛗螽いなごもありて常の田にかはる事なし、又いかなる日てりにも田水てんすゐかれずとぞ。二里のいたゞきに此奇跡きせきること甚不思議ふしぎ灵山れいざんなり。
これを奇なりとおもふに、此田の中にかへる蛗螽いなごもありて常の田にかはる事なし、又いかなる日てりにも田水てんすゐかれずとぞ。二里のいたゞきに此奇跡きせきること甚不思議ふしぎ灵山れいざんなり。
○高辻の御庭の桜かれたりときゝ玉ひて「梅は飛桜はかるゝ世の中に松ばかりこそつれなかりけれ」
○高辻の御庭の桜かれたりときゝ玉ひて「梅は飛桜はかるゝ世の中に松ばかりこそつれなかりけれ」