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おふ
戀は
一人ぞ
安かりける、
何事も
言はじ
思はじ、
仰せられても
給はるなとて、
曉の
月に
影を
別ちしが、これより
姫は
如何に
成りけん、
扨も
敏は
如何に
成りけん
何ごとぞ
飽くまで
優しき
孝行のこヽろに
似す、
父君母君が
苦勞の
種の
嫁いりの
相談かけ
給ふごとに、
我まヽながら
私し
一生ひとり
住みの
願ひあり、
仰せに
背くは
罪ふかけれど
端金にはあらざりけんを、
六三此金に
眼も
止めず、
重々の
大罪頸と
仰せらるヽとも
恨らみは
無きを、
情のお
詞身に
徹しぬとて
男一匹美事なきしが、さても
下賤に
根を
持てば、
戀を
金ゆゑするとや
思す