“面貌”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
めんぼう41.5%
おもざし17.0%
おもて5.7%
おもわ5.7%
めんばう3.8%
かお3.8%
かおつき3.8%
ファシイス1.9%
おもばせ1.9%
おももち1.9%
かおかたち1.9%
かほかたち1.9%
かほつき1.9%
きりやう1.9%
きりょう1.9%
つらがまへ1.9%
つらつき1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
面貌めんぼうほとんど生色なく、今にもたおれんずばかりなるが、ものに激したるさまなるにぞ、介添は心許こころもとなげに、つい居て着換を捧げながら
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「では訊くが、しきりに俵一八郎の身に近づこうとする者は、一体、どのような風采、また面貌おもざしなど、しかと見届けておいたかどうじゃ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年紀としのころは二十七八なるべきか。やや孱弱かよわなる短躯こづくりの男なり。しきり左視右胆とみかうみすれども、明々地あからさまならぬ面貌おもてさだかに認め難かり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
冠者は悠然と立ち上がったが、そこでうやうやしく一礼した。美玉のような玲瓏れいろうたる面貌おもわ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
抑も斯かる覆面は何の爲にもちゐらるるかとへば、故らに面貌めんばうを奇にする爲か他人たにんに面貌を示さざる爲かしからざれば寒氣かんきを防ぐ爲なるべし。思ふに第三種の用こそ此場合このばあひに於けるまことの用ならめ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
直接お客の面貌かおを見知った後お千代のこれに対する様子をはっきりうかがい見る事を得たのは今度始めて妾宅へ引移ってからの事であった。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
飼われている一匹のちんもあって、田舎いなかからの珍客をさもめずらしがるかのように、ちいさなからだと滑稽こっけい面貌かおつきとで廊下のところをあちこちと走り回っている。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
北部独逸の独逸貴族ユンケルの家系にはいくらでも居り、また脳水腫患者には生き写しというのがよくいて、ダングリソンの医学では、「ナポレオン面貌ファシイス」といって
フランス伯N・B (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その排置の如きは、一に聽者讀者の空想にゆだぬ。是に於いてや、我が説く所の唯一の全景は、人々の心鏡に映じて千樣萬態窮極することなし。かつ人をして面貌おもばせを語らしめて聽け。
船室にりて憂目うきめいし盲翁めくらおやじの、この極楽浄土ごくらくじょうど仏性ほとけしょうの恩人と半座はんざを分つ歓喜よろこびのほどは、しるくもその面貌おももちと挙動とにあらわれたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今夜はこわい晩である。夢に現われた不動尊は、いまだに米友にはその心が読めない。今ここに現われた現実の人は、言葉こそ優しい女人にょにんであれ、その面貌かおかたちは言わん方なき奇怪なものである。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
昨日きのふこそ誰乎彼たそがれ黯黮くらがりにて、分明さやか面貌かほかたちを弁ぜざりしが、今の一目は、みづからも奇なりと思ふばかりくしくも、彼の不用意のうちに速写機の如き力を以てして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さて犬族一統の中で、此「ドール」君の風丰ふうぼうを最も能く伝へてゐるは我々日本犬だよ。耳から尻尾の具合、面貌かほつきまでが頗るておる。殊に勇武絶倫、猛獣を物ともせざる勇敢の気象が丸出しである。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
すつきり端然しやんと構へたる風姿やうだいと云ひ面貌きりやうといひ水際立つたる男振り、万人が万人とも好かずには居られまじき天晴小気味のよき好漢をとこなり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
すっきり端然しゃんと構えたる風姿ようだいといい面貌きりょうといい水際立ったる男振り、万人が万人とも好かずには居られまじき天晴あっぱれ小気味のよき好漢おとこなり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
とて越中ゑつちうかしらでゝしたあかくニヤリとわらひ、ひとさしゆび鼻油はなあぶらひいて、しつぺいはらんと歯噛はがみをなし立上たちあがりし面貌つらがまへ——と云々うんぬんかくてこそ鬼神きじん勇士ゆうし力較ちからくらべも壮大そうだいならずや。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かゝる人なりければ其面貌つらつきも恐ろしげに荒びてえびすなどの如くなりけむ、孔子も貌を以て人を取りつ之を子羽に失しぬと云ひ玉へり。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)