ざっ)” の例文
旧字:
それだからいう事は余り大した事ではありません。が、もう少しの間、ざっとしたところを御話して御免こうむる事にしましょう。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
名も知れぬ花よ。ざっと虹のやうな花よ。人間のうちに、うした花の咲くのは壁にうどんげのひらくとおなじだ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いやしからぬ拵えですから、長二は遠慮して片隅の方にひかえてると、其の男は和尚にざっと挨拶して布施を納め、一二服煙草を呑んで本堂へおまいりに行きました。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さもなければざっとうのちまたが安全だった。そこでは影法師かげぼうしのことなんか誰も注意していないから。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
国貞くにさだの画がざっと二百枚、かろうじてこの四冊の、しかも古本と代ったのである。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
源「へい、その誠にその、ざっといたした医者で」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ざっと、人違いですよ。」とまなじりを伏せてぐっと呑んで
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ざっと十四、五年になりますな。」
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)