“鎮”のいろいろな読み方と例文
旧字:鎭
読み方割合
しず76.3%
しづ10.7%
しずま4.8%
しづま1.7%
ちん1.4%
シヅ1.0%
おさ0.7%
おもし0.7%
しずめ0.7%
しずむ0.3%
しずも0.3%
しづまら0.3%
しづみ0.3%
しづめ0.3%
フ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二、三日暴(あ)れていた笹村の頭も、その時はもう鎮(しず)まりかけていた。自分が女に向ってしていることを静かに考えて見ることも出来た。
黴 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
其処にある花は花片(はなびら)も花も、不運にも皆蝕(むしば)んで居る。完全なものは一つもなかつた。それが少し鎮(しづ)まりかかつた彼の心を掻き乱した。
ただ難点はあまりにここは理想的でありすぎた。もしこういう場所を占有したなら、周囲から集る羨望(せんぼう)嫉視(しっし)の鎮(しずま)る時機がないのである。
比叡 (新字新仮名) / 横光利一(著)
女房(にようぼ)曰(いわ)く、御大層(ごたいそう)な事をお言ひでないうちのお米が井戸端(ゐどばた)へ持つて出られるかえ其儘(そのまゝ)鳴(な)りの鎮(しづま)つたのは、辛辣(しんらつ)な後者の勝(かち)に帰したのだらう(十八日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
虎牢関の関は、洛陽をへだたること南へ五十余里、ここの天嶮に、十万の兵を鎮(ちん)すれば、天下の諸侯は通路を失うといわれる要害だった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古(イニシヘ)ヨリ源平両家、朝(テウ)ニ仕(ツカ)ヘテ、平氏世ヲ乱ストキハ、源氏コレヲ鎮(シヅ)メ、源氏世ヲ侵(ヲカ)ス日ハ、平家コレヲ治(ヲサ)ム
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
痛風のほうもどうやら鎮(おさ)まっていたので、僕はぶらぶら森のほうへ鉄砲を射ちに出かけた。そして嘴(くちばし)のながい奴を、既に四五羽は射ち落していた。その時だった。
狂女 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
葺たる上に算木(さんぎ)といふ物を作(つく)り添(そへ)石を置(おき)て鎮(おもし)とし風を防(ふせぐ)の便(たより)とす。これゆゑに雪をほりのくるといへどもつくすことならず、その雪のうへに早春(さうしゆん)の雪ふりつもりて凍(こほる)ゆゑ屋根のやぶれをしらず。
汲(く)み「隣の方と一緒でも構わぬよ、探偵を勤めるが何も恥では有るまいし」と言い掛るを細君が「なに爾では有りませんよ」と鎮(しずめ)んとすれど耳に入れず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
恋愛の痛(いたみ)を鎮(しずむ)る妙薬。怨恨(えんこん)を激する昂奮剤。
それゆえ彼等は悠久に山と共に鎮(しずも)り、峯に纏(まと)って哀愛の情を叙することができる。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
定座(ぢやうざ)に居(を)らず、仮(かり)に居(ゐ)て其為作(わざ)をなせば、おのづから心鎮(しづまら)ずして糸に太細(ふとほそ)いできて用にたちがたし。
夜の底鎮(しづみ)のはしに三味を弾く
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
 火もて消ちつゝ 言ひもかね 名づけも知らに 霊(くす)しくも 座す神かも 石花海(せのうみ)と 名づけてあるも その山の 包める海ぞ 不尽河と 人の渡るも その山の 水のたぎちぞ 日本(ひのもと)の やまとの国の 鎮(しづめ)とも 座す神かも 宝とも なれる山かも 駿河なる 不尽の高峰は 見れど飽かぬかも
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
悠紀・主基の国々の威霊なる稲魂が御躬に鎮(フ)る為に、風俗を奏するのを思へば、東人の荷前の初穂を献るに、東ぶりの歌舞が行はれなかつたと考へるのは、寧不自然である。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)