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譬喩
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ひゆ
ふりがな文庫
“
譬喩
(
ひゆ
)” の例文
例えば釈迦の引いた
譬喩
(
ひゆ
)
の
盲亀
(
もうき
)
百年に一度大海から首を出して孔のあいた浮木にぶつかる機会にも比べられるほど少なそうであるが
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
良斎先生はその二つの
譬喩
(
ひゆ
)
をお疑いになるのではなく、ただ麻が縄となるその外縁がわからぬようにおっしゃるのでございましょう。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
へ、へ、へ! その真っ向からですな、あなたの巧みな
譬喩
(
ひゆ
)
に従えばね! へ! へ! それくらいのことはみんな心得ていますよ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
またイエスの
語録
(
ロギア
)
は、非常に優れた
譬喩
(
ひゆ
)
によって
象嵌
(
ぞうがん
)
せられた美しい説教であって、今は福音書の戯曲的な物語の中にはめ込まれている。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
然らば合理的の事実が
如何
(
いか
)
にして不合理の物語として現われているかというと、一つの解釈は、それは
譬喩
(
ひゆ
)
だというのである。
神代史の研究法
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
▼ もっと見る
象徴と
譬喩
(
ひゆ
)
と、どうちがうか、それにさえきょとんとしている人がたまにはあるのだから、言うのに、ほんとに骨が折れる。
多頭蛇哲学
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
緑雨は果して
渾身
(
こんしん
)
是
(
これ
)
諷刺なるや否やを知らず。
譬喩
(
ひゆ
)
に乏しく、構想のゆかしからぬ所より言へば、未だ以て諷刺家と称するには
勝
(
た
)
へざるべし。
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
また、
譬喩
(
ひゆ
)
を珠玉に求めむか、彼には青玉黄玉の光輝あり、これには乳光柔き
蛋白石
(
たんぱくせき
)
の影を浮べ、色に曇るを見る可し。訳者
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「天国とは?」と問われてキリストは即座に巧な
譬喩
(
ひゆ
)
で弟子達を信服させた。「詩人とは?」と問われて昭和の贋予言者はまごつかざるを得ぬ。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
譬喩
(
ひゆ
)
で云うと、酒の味が舌の先から飛び出して、酒の中へ
潜
(
ひそ
)
んで落ち着く方角に働くのであります。晩酌の方はこれが反対の方向に働いております。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何の
譬喩
(
ひゆ
)
を用いて言うだろう、自分の行動に目を離さない人であるから、そのうちこの関係に気がつくであろうと思うと源氏は救われがたい気がした。
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
流暢
(
りゅうちょう
)
さの代りに、絶対に人に疑を
抱
(
いだ
)
かせぬ重厚さを備え、
諧謔
(
かいぎゃく
)
の代りに、
含蓄
(
がんちく
)
に富む
譬喩
(
ひゆ
)
を
有
(
も
)
つその弁は、
何人
(
なんぴと
)
といえども逆らうことの出来ぬものだ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
譬喩
(
ひゆ
)
を以ていふときは、
穉
(
をさな
)
き立實論は
阿含
(
あごん
)
の如く、
偏
(
かたよ
)
りたる主觀想論は
般若
(
はんにや
)
の如く、先天立實論は
法華涅槃
(
ほつけねはん
)
の如し。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
で、然ういう美しいものを、不幸にも保持していない女や、
乃至
(
ないし
)
は活用出来ない女は、古い云い来たりの
譬喩
(
ひゆ
)
ですが、(女)では無くて(雌)ですなあ。
奥さんの家出
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
天真の桜花の、人造の
薔薇
(
そうび
)
のといふ
譬喩
(
ひゆ
)
はかたはらいたし。桜花をのみ無上にありがたがりて、外の花の美を知らぬ人とは、共に美術文学を語りがたし。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
その隠喩や
譬喩
(
ひゆ
)
はいわば食堂への料理運搬機を通じて必然的にはなはだ遠まわしになり、こじつけになっている。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
それとも
譬喩
(
ひゆ
)
で、あじ鴨が騒いで飛行くように人が群れ騒ぎ行くというのか、先輩の解釈にも二とおりある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
国土の大なる、これを地球全体に比すれば、また九牛の一毛にも及ばず。地球の大なる、これを太陽系に較すれば、その微小なる、
譬喩
(
ひゆ
)
の及ぶところにあらず。
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
そうでなしに単にこれだけの
譬喩
(
ひゆ
)
を持出したものとすれば、一箇の思いつきに過ぎぬことになってしまう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
半杓は元へ帰してその功徳を後嗣者に譲り与えるというような
譬喩
(
ひゆ
)
を以て用意のほどを示されております。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おもうに、人生を「橋渡り」に、あるいは「一巻の書物」に
譬
(
たと
)
えることも、きわめて巧みな
譬喩
(
ひゆ
)
ではありますが、結局、なんといっても私ども人間の一生は旅行です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
年を追って深刻の度を加えて来た鉱毒事情を説明するうちに、はじめは処女のごとくという
譬喩
(
ひゆ
)
をそのままに、正造はしだいに古河を罵倒して悲憤、慷慨に激してきた。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
鶴見は『正法眼蔵』全体を一つの
譬喩
(
ひゆ
)
と見ている。梅花はこの譬喩の中でも代表的なものである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
もっともこういう類推は、厳密に言えば
譬喩
(
ひゆ
)
であって、何も
傍証的
(
ぼうしょうてき
)
な意味があるわけではない。
硝子を破る者
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
するとモスクヴァつ
児
(
こ
)
であるC技師は、にやりと一笑して、次のやうな
譬喩
(
ひゆ
)
を以て答へた。
三つの挿話
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
彼はジヤアナリストであると共にジヤアナリズムの中の人物——或は「
譬喩
(
ひゆ
)
」と呼ばれてゐる短篇小説の作者だつたと共に、「新約全書」と呼ばれてゐる小説的伝記の主人公だつたのである。
続西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
神天地をつくり
給
(
たも
)
うたとのつくるというような
語
(
ことば
)
は要するにわれわれに対する一つの
譬喩
(
ひゆ
)
である、表現である。マットン博士のように誤った
摂理
(
せつり
)
論を出さなくてもよろしい。畢竟は愛である。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
譬喩
(
ひゆ
)
と諷刺が
紛々
(
ふんぷん
)
として匂う癖に、どなたも口を揃えて、——私の話には譬喩も諷刺も無いと
仰
(
おっ
)
しゃる——それは一応賢いお言葉のようではありますが、
甚
(
はなは
)
だ卑怯なように思われてなりません。
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小児欺しでは決してない、噛みしめて見よ味のある話しではないか、どうじゃ汝たちにも面白いか、老僧には大層面白いが、と軽く云われて深く浸む、
譬喩
(
ひゆ
)
方便も御胸の
中
(
うち
)
にもたるる
真実
(
まこと
)
から。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かつて竹隈で聞いた「時代の
怒濤
(
どとう
)
」という
譬喩
(
ひゆ
)
を思い返した。それはあらゆる人々がいま怒濤にのまれた家の屋根にしがみついているという風な表現だった。家の根太は既に洗い去られている。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それでも、蒲原氏、ひきつづいて薄田泣菫さん以下の人々の象徴詩に、相当にわれわれにも理会の出来るものが現れた。それを今くり返して見ると、そう言うのは、多くは、
譬喩
(
ひゆ
)
詩に過ぎなかった。
詩語としての日本語
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
たとえばその……こう先生はなにか
譬喩
(
ひゆ
)
を考えだそうとする。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ねえ支倉君、この
譬喩
(
ひゆ
)
の峻烈味はどうだね。
オフェリヤ殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
奇想巧妙な
譬喩
(
ひゆ
)
を求めるあまり、遂には
芭蕉について
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私は一つの
譬喩
(
ひゆ
)
を
茲
(
ここ
)
に
挿
(
さしはさ
)
みます。
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
おとぎ話というものは、だいたいにおいて人間世界の事実とその方則とを特殊な
譬喩
(
ひゆ
)
の形式によって表現したものである。
さるかに合戦と桃太郎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さればこの人は芸文に
劃然
(
かくぜん
)
たる一新機軸を出しし者にして同代の何人よりも、その詩、哲理に富み、
譬喩
(
ひゆ
)
の趣を加ふ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
こんな
譬喩
(
ひゆ
)
を用いて、私はごまかそうとしているのでは決してない。その文字を具体的に説明して聞かせるのは、むずかしいのみならず、危険なのだ。
父
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一、初学の人にして
譬喩
(
ひゆ
)
、難題、
冠附
(
かむりづけ
)
、冠履、
回文
(
かいぶん
)
、
盲附
(
めくらづけ
)
俳句、時事雑詠等の俳句をものせんとする人
間々
(
まま
)
あり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
戸のすき間に尻尾をしめつけられた悪魔のことは、ただ単に
譬喩
(
ひゆ
)
としてばかりでなく、直接の意味においても、心から喜んで信じたいような気持がした。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
また、巻十(一八八九)の、「吾が
屋前
(
やど
)
の
毛桃
(
けもも
)
の下に
月夜
(
つくよ
)
さし
下心
(
したごころ
)
よしうたて此の頃」という歌は、
譬喩
(
ひゆ
)
歌ということは直ぐ分かって、少しうるさく感ぜしめる。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
今の西暦第十九世紀の醫道に至りては、おそらくは
復
(
ま
)
た持藥の名を口にするものなからむ。われは
固
(
もと
)
より
譬喩
(
ひゆ
)
の
跛足
(
はそく
)
になり易きを知れば、こゝに持藥劇藥の事を論ぜず。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「お嫁さんでも取ったようだ……」という単純明白な
譬喩
(
ひゆ
)
の一シラブルになるのですが、お雪ちゃんのは、「お嫁さんにでも……」で、あとは消滅してしまったのですから
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
天人の羽衣もて劫の石を撫づるてふ
譬喩
(
ひゆ
)
のいかに巧に歳月の悠久なる概念を与ふるかを知らば、おなじく「虹の松原」と
唱
(
うた
)
ひてこそ、はじめて尽ざる趣は感情の底より湧き来り
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
しかし、
譬喩
(
ひゆ
)
ばかりならべたところで、その道理を述べざれば承知する人もあるまいけれども、その論は実に古今の大議論なれば、到底、一朝一夕の弁明のよく尽くすところではない。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「変形するのだ。蛾になって、繭を喰破って、飛出すのだ。」これは大変結構な
譬喩
(
ひゆ
)
だ。しかし、問題は、私の精神にも肉体にも、繭を喰破るだけの力が残っているか、どうかである。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「宇をつくる」と
訓
(
よ
)
むべきこの「為宇」を、いつのころからか「宇となす」と訓み「宇」を
譬喩
(
ひゆ
)
の語として見るものがあったので、そこから八紘を一家とするというような解釈が加えられ
日本歴史の研究に於ける科学的態度
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
ただ自分でほんとうにおもしろいと感じたことの覚え書きか、さもなければ
譬喩
(
ひゆ
)
か説明のために便利な道具として使うための借りものに過ぎない。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「の」とすれば全く
譬喩
(
ひゆ
)
となりて味少く、「に」とすれば「桜」が主となり実景となる故に多少の趣を生ずべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
太田
錦城
(
きんじょう
)
と云う漢学の先生が、「天の風雨の如し」と原始的な
譬喩
(
ひゆ
)
を下したのを面白く思った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“譬喩”の意味
《名詞》
物事の説明を印象強くするために、他の類似した物事を借りて表現すること。
(出典:Wiktionary)
譬
漢検1級
部首:⾔
20画
喩
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“譬喩”で始まる語句
譬喩的
譬喩歌
譬喩品
譬喩経
譬喩談