)” の例文
旧字:
「春上り」をめがけて毎日様々な借金取りが軒別に廻って歩いた。町の農工銀行の行員は香水をプンプンと匂はせ乍ら片端から退引ならぬ談判をして行った。
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
「垂乳根の母が繭隠まよごもりいぶせくもあるか妹にあはずて」というのがあり、巻十三(三二五八)の長歌に、「たらちねの母が養ふ蚕の、繭隠り気衝いきづきわたり」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
実際、湯治とか保養とかいう人たちは別問題として、上州のここらは今が一年じゅうで最も忙がしい養蚕ようさん季節で、なるべく湿れた桑の葉をおさまに食わせたくないと念じている。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さまを集めて来いって仰しゃったんですって、天皇だからさまは付けないで、ただこって呼びすてにするでしょ、おかいこがしたかったので、こを集めて来いって仰しゃったら
ちいさこべ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
まゆふたごもりにもわれ似たり人の家のみ宿とすまへば
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
繭倉にの繭ならば籠らまし我が身の果を知られずもがな
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
手もすまにかなしびまた書かずつはものが妻や九人ここなたりの母や
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
よきゆへ正しき繭を作りたる
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
垂乳根たらちねはは繭隠まよごもりこもれるいもむよしもがも 〔巻十一・二四九五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
兵のいへことかこたず貧しくも国をたのめてあげにき
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かりそめとおもふはさびひしいろき繭にこもりはてたり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)