ふん)” の例文
もっともコンナのはその中でも特別あつらえの一例だがね……呉モヨ子は、ふん夫人の心理を夢中遊行で繰り返すと同時に、その姉のたい夫人が
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「水道橋まで歩行くが可い。ああ、酔醒えいざめだ。」と、衣紋えもんゆすって、ぐっと袖口へ突込んだ、引緊ひきしめた腕組になったと思うと、林檎りんごの綺麗な、芭蕉実バナナふんと薫る、あかり真蒼まっさお
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
呉一郎がサナガラに描き現わした一千年前の呉青秀の心理遺伝の身ぶり素振りによって、モヨ子が先祖のたいふん姉妹きょうだいから受け伝えていたマゾヒスムス的変態心理の慾望と記憶とを
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二階の論判ろッぱん一時ひとときに余りけるほどに、雷様の時の用心の線香をふんとさせ、居間からあらわれたのはお蔦で、もぐさはないが、禁厭まじないは心ゆかし、片手に煙草を一撮ひとつまみ。抜足で玄関へ出て、礼之進の靴の中へ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……それを黛夫人の妹のふん女を初め、呉家の代々の人々から正木博士に到るまで、唯、常識で考えて、この中に描いてある死像を六体限りとアッサリきめているような事がありはしまいか。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)