つな)” の例文
銀の鎖を付けた四疋の犬を牽き来り別室につなぎ、去って金の皿四つに好肉を盛ったのを持ち来り、毎犬一皿を供えて出で行った。
この屍の肉で露命をつないだ(Bellum Tartaricum{Semedo; History of China}p. 270)
十四日のまるい月影が天幕にさす頃は、片貝谷は一面に光の薄絹に包まれて、現と夢とをつなぐ美しい世界と化してしまった。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
けれ共王と貴族と富豪との傲慢がうまんと罪悪とに媚びて、いとの如き生命をつないでる教会は戦慄せんりつします、決して之を容赦致しませぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それが自分の縁につながると云ふばつかりでひよつとした憂目に遇ふと云ふことは、自分の忍び得ない処である。兄を助けるには何事も只犠牲になる。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
そんな名剣も貧乏神だけはうにも出来ないものと見えて、犬養氏は最近和田つならう氏の取持とりもちで、所蔵の刀剣全部を根こそぎ久原くはら家へ売渡す事にめた。
ういう風であるから、肉体も精神も漸次しだいに退化して、殆ど猿のような野蛮人になってしまったが、にかくに今日までその血統をつないでいられたのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
借金も少しだと困るが身分不相当に沢山になると却つて借金のお蔭で生命がつなげるやうなもんで、虚誕もちつとだと躓くが此位甲羅かふらると世渡りが出来ると見える子。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
往反ノ者ノ路ニしたがラザルハナシ矣、ノ俗天下ニ女色ヲてらヒ売ル者、老少提結シ、邑里ゆうり相望ミ、舟ヲ門前につなギ、客ヲ河中ニチ、わかキ者ハ脂粉謌咲かしょうシテ以テ人心ヲまどハシ
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何分なにぶんにも年若としわかむすめのこととてはずかしさが先立さきだち、格別かくべつのお取持とりもちもできなかった……。』ひめはあっさりと、ただそれっきりしかおくちにはされませんでしたが、どうやらお二人ふたりあいだつないだ
猴を馬厩うまやつなぐ事については柳田君の『山島民譚集』に詳説あり、重複をいといここにはかの書に見えぬ事のみなるべく出そう。
「私も只お側に居ると云ふ丈け、生命いのちつながさせて下さると云ふ丈け、なんにも、なあんにもないんですわねえ。」
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
左手は絶えずガレが続いて、か細い山稜は偃松を頼みの綱にひびだらけの残骸をつなぎ留めている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「私も只おそばに居ると云ふ丈け、生命いのちつながせて下さると云ふ丈け、なんにも、なあんにもないんですわねえ。」
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
私の目と高い山とをつなぐ糸の上を渡り鳥の群れが往ったり来たりする。時には一羽の鷹が不図ふと私の魂をのせて紫紺色の透明な肌を持った山の方へ矢のように飛んで行くことなどもあった。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
駝象の大行列中に雄猴をつないで輿こしに載せ、頭に冠を戴かせ、輿側に人ありてこれをあおぎ、炬火きょか晶燈見る人の眼をくらませ、花火を掲げ、嬋娟せんけんたる妓女インドにありたけの音曲を尽し、舞踊、楽歌、放飲
生きて行くことが出来る丈の手当すら与へないで、仕事は一人前を吩付いひつけると云ふのは、隙さへあつたらぬすみでもかたりでもして命をつなげと云ふにひとしいとも云ひ得る。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)