終生しゅうせい)” の例文
けれども終生しゅうせい芸に捧げじゅんずるというような激しい精進は得難いもので、ツボとかコツを心得てそれで一応の評価や声名が得られると
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
武士ぶしをすてて竹生島ちくぶしまにかくれた時、そして、地蔵菩薩じぞうぼさつの愛のたびしまをでたとき、かならず、終生しゅうせいかたなくまいぞと心にちかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けっして、それはゆめではなかったのです。この小鳥ことりだけは、おそらく終生しゅうせい自分じぶん経験けいけんしたことをおもしてわすれなかったでありましょう。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まして当人とうにんはよほど有難ありがたかったらしく、早速さっそくさまざまのお供物くもつたずさえておれいにまいったばかりでなく、その終生しゅうせいわたくしもと参拝さんぱいかさないのでした。
ひょろ松が、受けとって読んで見ると、救命のご恩義は終生しゅうせいわすれないが、そのためにあなたに屈するようなことはない。この次の機会にまた勝負をしよう。
こういうようなことがいてありました。終生しゅうせい独身どくしんごした、B医師ビーいしはバラックしきであったが、有志ゆうし助力じょりょくによって、慈善病院じぜんびょういんてたのは、それから以後いごのことであります。
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とまれ六朝に歴侍して宮中第一の勢力を持ち、男帝女帝二つながら親愛せられて、終生しゅうせいその勢力に消長がなかったという三千代の才気は、いささか我々の理解を絶するものがある。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
終生しゅうせいこのことばをもって通した信玄しんげんには、ものものしい要害ようがい無用むようであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうおもうのも無理むりはありませんが、どうして、それが、終生しゅうせい幸福こうふくだといわれますか……。そのためにいいこともあれば、また、わるいこともある。そらから、ているとよくわかりますよ。」
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)