へき)” の例文
老人越遊ゑついうすゝめしこと年々なり。もとより山水にふけるへきあり、ゆゑに遊心いうしんぼつ々たれども事にまぎれはたさず。丁酉の晩夏ばんかつひ豚児せがれ京水をしたがへ啓行けいかうす。
老人越遊ゑついうすゝめしこと年々なり。もとより山水にふけるへきあり、ゆゑに遊心いうしんぼつ々たれども事にまぎれはたさず。丁酉の晩夏ばんかつひ豚児せがれ京水をしたがへ啓行けいかうす。
貧なればよく質素にあまんずといへども僅少きんしょうの利を得ればただちに浪費するへきある事なり。常に中庸をとうとび極端にする事を恐るる道徳観をする事なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこに俳諧はいかいの余技があり、気質本二篇を書いては居るが、これは古今を通じて多くの遊蕩児中には、ままある文学へきの遺物としてのこつたに過ぎない。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
よほど面くらわなくちゃアできない芸当だが、しかし、へきがなくちゃアこう身を入れてやれるものじゃアない。
我慢して居ながら伊勢の大神宮へ賽錢あぐる便利を待つたがよささうなものといふ人もあれど篁村くわうそん一種のへきありて「容易に得る樂みは其の分量薄し」といふヘチ理屈を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
皆その習うところにへきするもの、まことに人情の常なり。これをもって今ここにこの文を述るのみ。平仮名のごとき、すでに書あり。その序、ほぼその意をのぶべし。
平仮名の説 (新字新仮名) / 清水卯三郎(著)
観光地などはべつとして、一般の落書きへきは、都会では近ごろ見られなくなったのではなかろうか。
美しい日本の歴史 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平生へいぜい彼女の眼に映る健三の一部分はたしかにこうなのであった。ことに彼と自分の生家さととの関係について、夫のこの悪いへきが著るしく出ているように彼女は思っていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
筠庭はもと漫罵まんばへきがある。五郎作と同年に歿した喜多静廬きたせいろを評して、性質風流なく、祭礼などの繁華なるを見ることを好めりといっている。風流をどんな事と心得ていたか。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかるに彼に一つのへきありてある形容詞に限り長きを厭わず、しばしばこれを句尾に置く。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
探偵へきとでもいうのでしょうか、その性質が多分にあって、あの装置なども殆ど最初から知っていたばかりか、君の留守中に部屋へ忍び込んであの鏡を覗いて見さえしたのです
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
出遅でおくれや落馬へきの有無、騎手の上手じょうず下手へた距離きょりの適不適まで勘定かんじょうに入れて、これならば絶対確実だと出馬表に赤鉛筆えんぴつで印をつけて来たものも、場内を乱れ飛ぶニュースを耳にすると
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
けだ被虐性ひぎゃくせいの快楽といえども矢張「快楽」の一種には相違ないから、もと/\利己的性質を帯びていることは明かであるが、兎角此のへきのある人々はつい深入りをして身を誤まる危険が多いのに
牡犬なれば悪性にても不能にても苦しからずや。議論片落かたおちなりと言う可し。けだし女大学の記者は有名なる大先生なれども、一切万事支那流より割出して立論するが故に、男尊女卑のへきは免かる可らず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
此翁和哥をよくかつ好古かうこへきありて卓達たくたつの人なり、雅談がだんわくが如く、おもはずつゑをとゞめし事四五日なりし。
貸した人があとでおかあさんを義理で縛つたじいさんよ。と云つても爺さんは決して悪人では無い。ただ昔武人だつただけに冒険へきがあつたが本性はむしろ善良だつた位だ。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
そのへきに感じて、ここに誰からも訊きだすことができなかった一ツの書附を進ぜようじゃないか
へきいて其子徳安に及び、徳安は矢島優善の妻鉄を呼んで「おてちやん」と云つた。これに反して渋江抽斎の如きは常に其子を呼ぶに、明に専六と云ひ、お陸と云つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
一、雅樸を好む者婉麗えんれいを嫌ひ、婉麗を好む者雅樸を嫌ふのへきあり。これを今日の実際に見るに、昔めきたる老人は雅樸の一方に偏し、婉麗なる者を俗猥ぞくわいの極としてこれを斥く。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
故人とどういう縁故のある者の子孫かと、私は私の想像へきをまたそぞろに駆られて、一郎翁にたずねてみると、その平尾泰助という人は、武蔵の姉がとついだ先の家筋の子孫だとある。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何処どこということなく、道を歩いてふと小流こながれに会えば、何のわけとも知らずその源委げんいがたずねて見たくなるのだ。来年は七十だというのにこのへきはまだ消え去らず、事に会えば忽ち再発するらしい。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
此翁和哥をよくかつ好古かうこへきありて卓達たくたつの人なり、雅談がだんわくが如く、おもはずつゑをとゞめし事四五日なりし。
へきは既に引いた葌斎かんさい詩集文政壬午の詩に就いて、其一端を窺ふことが出来る。「但於間事有遺恨。筅箒不能手掃園。」蘭軒は脚疾の猶軽微であつた時は、常に手に箒を把つて自ら園をはらつてゐた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
さて旧友きういう観励くわんれい上人は(椎谷ざい田沢村浄土宗祐光寺)強学きやうがくきこえあり、かつ好事かうずへきあるを以てかの橋柱はしばしらの文字を双鈎刊刻さうこうかんこくして同好どうこうにおくり且橋柱はしばしらだいする吟詠ぎんえいをこひ
さて旧友きういう観励くわんれい上人は(椎谷ざい田沢村浄土宗祐光寺)強学きやうがくきこえあり、かつ好事かうずへきあるを以てかの橋柱はしばしらの文字を双鈎刊刻さうこうかんこくして同好どうこうにおくり且橋柱はしばしらだいする吟詠ぎんえいをこひ