“河(か)” の例文
こんどは交わし損ねて、その拳(こぶし)が城太郎の耳の辺をごつんと打った。城太郎の片手がそこを抑え、河(か)ッ童(ぱ)あたまの毛がみな逆立ッた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
分捕の牛の二十四頭に船をひかせて大沙漠を横切り土人と戦いながら再びニイジエル河(か)に船を乗り入れ、水!と叫びながら大西洋に出て行く物語りで、割合に長い物である
ダンセニーの脚本及短篇 (新字新仮名) / 片山広子(著)
乃(すなわ)ち陽(よう)に遼東(りょうとう)を征するを令して、徐凱をして備えざらしめ、天津(てんしん)より直沽(ちょくこ)に至り、俄(にわか)に河(か)に沿いて南下するを令す。軍士猶(なお)知らず、其(そ)の東を征せんとして而して南するを疑う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「河(か)、河(か)、河童(かつぱ)ですか。」
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
が、しかし、今この材木場の奥に突き当って、そこに眺めた深い暗やみはたしかにその一ツで、俗に、聖天(しょうでん)の河(か)ッ童(ぱ)穴(あな)といった跡にちがいない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しらあ、河(か)あ。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
雨に光っている髪の毛は、蓬々(ぼうぼう)と耳にかぶさって、絵に描いた河(か)っ童(ぱ)そのままだ。筒袖の腰きりに、縄の帯、背中まで泥濘(ぬかるみ)の跳ねを上げている。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白(しら)あ河(か)あ。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
その中から、ひょっこり、年の暮も正月もない、河(か)っ童(ぱ)あたまの城太郎が姿を見せた。橋の中ほどまで来て、武蔵と朱実のすがたを彼方(かなた)に見つけ
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここで素性を知る者にとび出されては、もう釘勘の好意も滅茶滅茶で、下手をまごつくと生きてこの聖天(しょうでん)の河(か)ッ童(ぱ)穴(あな)を出ることは不可能かもしれない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思うに、ここの味方内から離反者が簇出(ぞくしゅつ)したばかりでなく、摂(せつ)、河(か)、泉(せん)いったいにわたる日和見(ひよりみ)的な武族もまた
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その金を投げるが如く渡すと、うしろへ身を退(ひ)いて、一散に河(か)ッ童(ぱ)穴(あな)を飛び出そうとしましたが、途端に
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
階下(した)の小女が顔を出し、その後からすぐ城太郎が上がって来たのである。城太郎の黒い顔は、旅の垢(あか)でよけいに黒くなり、河(か)っ童(ぱ)のような髪の毛は埃(ほこり)で白くなっていた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この間、かれの馬蹄(ばてい)のめぐり歩いた地は、摂(せつ)、河(か)、泉(せん)、和(わ)の四州にわたっている。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船頭の娘なので、河(か)っ童(ぱ)のように髪の毛は赤いし、色は黒いが、眼元がぱっちりしていて、研(みが)けば今に、潮来(いたこ)でお職(しょく)が張れるなどとよく揶揄(からか)われたりするほど、どことなくそんな素質の小娘だった。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)