)” の例文
ふ、宗桂そうけいのあしらひより、番太郎ばんたらう桂馬けいまはうが、えらさうにえるならはしで、おくみ感心かんしんしたらしかつた。もさうずと千助せんすけ益々ます/\附入つけいる。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あなたのお話を伺っていると、あたしは将棋ので、上手な将棋差しの手にかかって、いいように動かされているみたい」
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それでも先ず蟹江が角道かくみちをあけ、猿沢が飛車先のを突いて、戦いが始まりました。両方とも黙々と口をつぐみ、しきりに駒を動かしています。
Sの背中 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
幕府の歩兵には、豹だの、茶袋だのという綽名あだなが付いていました。将棋の駒の歩兵ふひょうで、つまりは歩兵ほへいの意味です。
「あやまったね。しかたがねえや。おまえさんをお持ちだというから、代わって王手をしてもらうかね……」
いったい物持というやつが癪にさわる、成金なりきんになったようなつらをしやがって、我々共が食うに困る時に、高い金を出して羅紗らしゃなんぞを買い込みやがる。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
度々見るものなのでかえって気附きませんが、駒の文字は王将からに至るまで、特別な書体を現し、よくもここまで模様のような形に納めたものと感心さされます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「本来は無一物なり雪だるま」たとい戦災で物を喪失しても、もともと裸で生まれてきたのですもの。将棋の「金」から「」に帰っただけのことです。歩は当然また金になれるのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
と、将棋盤のを一ツ、つまみ取るように、軽く云った。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「二番が出るわい。」と馭者はぽんとを打った。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
「どうも、が一枚足りない……」
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かくけいに、が六枚。」
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ふ。宗桂そうけいのあしらひより、番太郎ばんたらう桂馬けいまはうが、えらさうにえるならひであるから、おきみ感心かんしんしたらしかつた。もさうず、と元二げんじ益々ます/\附入つけいる。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金銀飛車角、きょう、あっしなんぞはただの歩かもしれねえが、歩だってけっこう王手はできるんですよ。りっぱな王手がねえ。え? だんな! 聞かねえんですかよ!
「だから、金銀にが一ちょう
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王将、金銀、けいきょう、飛車、角、九ツの、数はかかる境にもちがいはなかった。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
床店とこみせ筋向すじむこうが、やはりその荒物店あらものみせでありますところ戸外おもてへは水を打って、のき提灯ちょうちんにはまだ火をともさぬ、溝石みぞいしから往来へ縁台えんだいまたがせて、差向さしむかいに将棊しょうぎっています。はし附木つけぎ、おさだまりの奴で。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)