松野まつの)” の例文
「すこしとおいけど、ひとんでいないれた屋敷やしきで、おおきなくりのがあるの。学校がっこうかえりに、松野まつのさんがつれていってくれたのよ。」
夕雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
年五十九である。四女とめが家を継いだ。今東京神田裏神保町じんぼうちょうに住んで、琴の師匠をしている平井松野まつのさんがこのとめである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ついこのあいだまで、大学でドイツ文学をおしえていた。ここにおられるのは松野まつのさんという、ミシン製造会社の社長さんで、やはり惣右衛門の子孫だ。
怪奇四十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いま松野まつのてゝ竹村たけむらきみまれれにまれ、开所そこだめなばあはれや雪三せつざうきやうすべし、わが幸福かうふくもとむるとて可惜あたら忠義ちうぎ嗤笑ものわらひにさせるゝことかは
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこで、追っ手の人々は、邸外の警官隊を助けるために、庭をひきあげたのですが、ただひとり、松野まつのという自動車の運転手だけが、まだ庭の奥にのこっていました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
なにきておんさげすみはづかしゝ、むつましかりしも道理だうり主從しうじゆうとはのみなりしならんなど、きみおもはれたてまつらん口惜くちをしさよ、これゆゑ雪三せつざうゆゑなり、松野まつの邪心じやしん一ツゆゑぞ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さりとてれにもしたがひがたきを、なにとしてにとせば松野まつのこゝろまよひもめ、竹村たけむらきみ潔白けつぱくをもあかされん、何方いづれにまれくきひと一人ひとりあらば、くまでむねはなやまじを
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)