かわ)” の例文
そうしてそれを回想する主観そのものも年とともにかわって行くのであるから、まあ大して当てになるものではない。
回顧と展望 (新字新仮名) / 高木貞治(著)
彼は、徽宗きそう皇帝の全盛時代からの御林軍の一将校であったから、そのって来た禁門の守りは、天地がくつがえろうとかわるものでないようにおもいこんでいたものだった。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
結ぶということがあれば、解くということもあるのは、数の免れざるところであって、結婚がある以上、離婚なる不祥事もしばしば生ずるのは、古今かわりなき現象である。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
かのくにの制、天子のおくは、くに黄瓦こうがを以てす、旧瓦は用無し、まさに黄なるにかわるべし、といえる道衍が一語は、時に取っての活人剣、燕王宮中の士気をして、勃然ぼつぜん凛然りんぜん糾々然きゅうきゅうぜん
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雨声に至りては怒るにあらず嘆くに非ず唯語るのみ訴ふるのみ。人情千古かわらず独夜枕上ちんじょうこれを聴けば何人なんびとうれいを催さゞらんや。いはんやわれやまいあり。雨三日に及べば必ず腹痛を催す。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ここニ住シテ凡ソ幾年、しばしバ春冬ノかわルヲ見ル寄語ス鐘鼎家しょうていか、虚名ンデ益なかラン」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
美沢は、新子の表情がかわったのを、自分に対する非難だと思ったらしく
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
日本は神国であるから日嗣ひつぎの御子はかわることがない、変るべからず、というのが論の骨子だが
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殿下きこしめさずや、飛龍天に在れば、従うに風雨をもってすと申す、かわらちて砕けぬ、これ黄屋こうおくかわるべきのみ、と泰然としてこたえければ、王もとみまゆを開いてよろこび、衆将も皆どよめき立って勇みぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そしてかわり易ってゆく地上には、時にしたがって時代の使命をになった新しい人物が出現して来る
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長い時の流れからみれば、わたくしどもが見た半生のちまたなど一しゅんのまに過ぎませぬ。大地とはそれ自体、刻々とかわってゆく生き物ですから、かわるなといってもかわらずにおりません。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやでも応でも、宇宙は刻々にかわるという法則に立つ易学を生んだ隣邦りんぽう中国では、さすがに世の転変てんぺんには馴れぬいていたものか、古来盗児とうじに関する挿話そうわは今の日本にも負けないほど多い。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ああ、天道はかわれり
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)