新月しんげつ)” の例文
夕月夜ゆふづくよといふのは夕月ゆふづきといふことでなく、月夜つきよつきのことです。で、夕月ゆふづきころといふと、新月しんげつ時分じぶんといふことになります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
こはれた壁に圍まれた狹い平地、夕ぐれ時を示す、昇りはじめた新月しんげつにつきまとうた感情を、私は、云ひあらはすことが出來ない。
夕空ゆうぞらはしだいにくらやみのいろにつつまれ、ほそい新月しんげつゆめのような姿すがたをみせ、ほしもふたつみっつ数をましていった。
だが、アクチニオ四十五世のうしろに並んで新月しんげつを拝んでいた同形どうけいの修行者たちはただの一人も見えなかった。残っているのは、聖者ただひとりであった。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かまのやうな新月しんげつ物凄ものすご下界げかいてらしてたが、勿論もちろんみち案内しるべとなるほどあかるくはない、くわふるに此邊このへんみちいよ/\けわしく、とがつた岩角いはかどわだかま無限むげん行方ゆくてよこたはつてるので
うち蒼み暮れては無き西の手に早やあはあはしほそき新月しんげつ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
たゞそれだけで滿足まんぞくせずに、新月しんげつころから注意ちゆういしてゐたのが、こんなにおほきく立派りつぱいたといふようなおもしろみをけたのは、ほんとうはよくないのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
やうやくこと起上おきあがつた水兵すいへいは、新月しんげつかすかなるひかりそのあなながめたがたちま絶叫ぜつけうした。
うち蒼み暮れては無き西の手に早やあはあはしほそき新月しんげつ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その夜、するどくとがった新月しんげつが、西空にかかっていた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ネープルスかうづるときにはめるがごとつきひかり鮮明あざやかこの甲板かんぱんてらしてつたが、いま日數ひかず二週ふためぐりあまりをぎてしんやみ——勿論もちろん先刻せんこくまでは新月しんげつかすかなひかりてん奈邊いづくにかみとめられたのであらうが