もん)” の例文
サア気をもんで私に武者振付むしゃぶりつくように腹を立てたが、私もあとになって余り洒落しゃれに念が入過いりすぎたと思て心配した。随分間違まちがいの生じやすい話だから。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
もんでゐた所ろ今方いまがたやすみなされたのでやう/\出てまゐりましたと云つゝ上りて火鉢ひばちそば身をひつたりと摺寄すりよせすわれば庄兵衞魂魄たましひも飛してうつゝ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
人をにしたり、人を泣かせたり笑わせたり、人をあえだりもんだりして玩弄がんろうする。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
母親はひとりで気をもんで、「旦那だんな様というものは奥様次第でどうにでもなる、と言っては済まないが」から、「御奉公は奥様の御機嫌きげんを取るのが第一だ」まで、縷々さんざん寝物語に聞かされました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もみもん丑滿うしみつの頃漸々にて糸切村に着し彼の茶見世を御用々々とたゝき起せば此家このやの亭主何事にやと起出おきいづるにまづ惣助亭主に向ひ廿二三年あとに澤の井樣より手紙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れから懐中の紙を出してその紙の中に吸殻を吹出ふきだして、念を入れてもんで/\火の気のないように捩付ねじつけてたもとに入れて、しばらくして又あとの一服をろうとするその時に、袂からけぶりが出て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ウカウカと文三がつかませられるままに掴んで、あえだりもんだり円めたり、また引延ばしたりして骨を折て事実ものにしてしまい、今目前にその事が出来しゅったいしたように足掻あがきつもがきつ四苦八苦の苦楚くるしみ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)