手捌てさば)” の例文
帯の間からばちを取り出して音締ねじめにかかる、ヒラヒラと撥を扱って音締をして調子を調べる手捌てさばきがまた慣れたものであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、三十郎より書状を取ると、髪からかんざしをスルリと抜き、そこは隠密の巧妙な手捌てさばき、書状の封目へ簪を入れ、見事に封目を解いてあけた。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
また魅せられたような、お町も、その端へ腰を下して、世帯ぶった手捌てさばきで、白いを取ったは布巾である。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今の身の上は町人と交際つきあいもする身の上だがまさか町人と縁組をするもいやだし、何か手捌てさばきも出来るような柔和な屋敷者で、遊ばせ言葉で無ければと仰しゃる、そうかと云って不器量ふきりょうでもいかんし
おい手捌てさばき美しく、にしきを、投ぐるよう、さらさらと緒をめて、火鉢の火に高くかざす、と……呼吸いきをのんで驚いたように見ていたお千は、思わず、はっと両手をいた。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
直ぐには答えないで、手捌てさばきよく茶をいで
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)