かぢ)” の例文
たねまでがり/\かぢつちやつたな、奇態きたいだよそんだがもゝかぢつてつとはななかほこりへえんねえかんな、れがぢやれでも魂消たまげんだから眞鍮しんちう煙管きせるなんざ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それに君如何どうだ、細君は殆んど僕等の喰ひあましの胡蘿蔔にんじん牛蒡ごぼうにもありつかずに平素しよつちう漬物ばかりをかぢつてる、一片ひときれだつて亭主の分前わけまへに預つたことはないよ。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
何処どこからかかうお前のやうな人が己れの真身しんみあねさんだとか言つて出て来たらどんなにうれしいか、首つ玉へかぢり付いて己れはそれぎり徃生わうじようしても喜ぶのだが
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
兄の勇雄いさをは父と母の話を聞きかぢつて此んな事を言つて居る。悪い所をば小供等に見せる事だと両親ふたおやは心の内で思つたが、差押に慣れた幼い二人は存外平気である。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
向後ちゝいかりに触れて、万一金銭きんせん上の関係が絶えるとすれば、かれいやでも金剛石ダイヤモンドを放り出して、馬鈴薯ポテトーかぢり付かなければならない。さうして其つぐなひには自然の愛が残る丈である。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
自分は此学校の一年生の冬、百二十人の級友に唯二つあてがはれた暖炉ストーブには、力の弱いところから近づく事も出来ないで、よく此竈の前へ来て昼食のパンをかぢつた事を思出した。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
机にかぢりついて、彼は嗚咽するのだ。
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
片手かたてにはかぢりのこせし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うまれんのがくせでひゝんとさわいだところてえよこしておさえたもんだから畜生ちきしやう見界みさけえもなくかぢツたんだからなあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おれめしでもはうかえ」勘次かんじ風呂敷包ふろしきづゝみから辨當べんたうのこりしてつめたいまゝぷす/\とかぢつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)