周章狼狽あわてふためき)” の例文
おこしもたてず突殺す故馬士まご仰天ぎやうてんなしにげんと爲すを一人の旅人飛蒐とびかゝつて是をも切殺すに供の男は周章狼狽あわてふためきあとをも見ずして迯歸にげかへりける故やがて盜賊は荷繩になは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
周章狼狽あわてふためき戸外こぐわい飛出とびだしてると、今迄いまゝで北斗七星ほくとしちせい爛々らん/\かゞやいてつたそらは、一面いちめんすみながせるごとく、かぎりなき海洋かいやう表面ひやうめん怒濤どたう澎湃ぼうはい水煙すいえんてんみなぎつてる。
窠宿の方へ走りゆけば、狐はかくとみるよりも、周章狼狽あわてふためき逃げ行くを、なほのがさじと追駆おっかけて、表門をいでんとする時、一声おうたけりつつ、横間よこあいよりとんで掛るものあり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
くらはゞさらまでと腰なる一刀拔くより早くこゑたてさせじと五郎藏が口の中へ突貫つきとほし二ツ三ツゑぐりしかば五郎藏は七轉八倒なすのみにて其儘そのまゝいき絶果たえはてたりやがて久兵衞は一刀をさやに納め周章狼狽あわてふためき五郎藏の死骸しがい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
固めしが稻葉家の運や惡かりけん花山院殿と菊亭殿きくていどのの御二方は難なく通り給ひしが勅使大納言殿の御駕籠此孫橋へ差掛られし時けた中途ちうとより折れて橋板五枚ばかりと共に日野家の御先供さきども水中に落入や否や續いて大納言殿の陸尺も踏外ふみはづし忽ち御駕籠かごも水中へ落入既にしづまんとする有樣に周章狼狽あわてふためき陸尺共は足を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)