“菊亭殿”の読み方と例文
読み方割合
きくていどの100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
網代笠あじろがさをかぶった三人の僧形は、黙々もくもくとして、そのれいをうけ、やがてあんないにしたがって、菊亭殿きくていどのの奥へ、スーッと姿すがたをかくしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
固めしが稻葉家の運や惡かりけん花山院殿と菊亭殿きくていどのの御二方は難なく通り給ひしが勅使大納言殿の御駕籠此孫橋へ差掛られし時けた中途ちうとより折れて橋板五枚ばかりと共に日野家の御先供さきども水中に落入や否や續いて大納言殿の陸尺も踏外ふみはづし忽ち御駕籠かごも水中へ落入既にしづまんとする有樣に周章狼狽あわてふためき陸尺共は足を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして菊亭殿きくていどのおくのようすをジッと聞きすましているらしかったが、ひろい大殿作おおとのづくりの内からは、あれきりつづみも人声ももれてはこず、ただ花橘はなたちばなや梅のに、ぬるい夜風がゆらめくのを知った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)