“入(へ)” の例文
「此(こ)の箱(はこ)ん中(なか)にや何(なん)だね入(へ)えつてんなあ、人形坊(にんぎやうばう)だつて本當(ほんたう)かね」前(まへ)の方(はう)に居(ゐ)た若(わか)い衆(しゆ)が巫女(くちよせ)の荷物(にもつ)へ手(て)を掛(かけ)ていつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
男「へい、そうですか、そんならお前さんのところの娘に違(ちが)えねえのだね、おいお母(っか)ア、こっちへ入(へ)んねえな」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ふんとに俺は、棺桶(がんばこ)さ入(へ)えるまで、こうして稼がねえばなんねえんだな……」
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
売るものが留守(るす)に在(あ)ろうはずは無し、どうしているか知らねえが、それでも帰るに若干銭(なにがし)か握(つか)んで家(うち)へ入(へ)えるならまだしもというところを、銭に縁のあるものア欠片(かけら)も持たず空腹(すきっぱら)アかかえて
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
穿(うが)ってるぜ、畜生め、まったく御改革の今日びじゃ、五十五貫の初鰹(はつがつお)どころか、一口一分の初茄子せえ、江戸ッ子の口にゃ入(へ)えらねえ、何(な)んのことはねえ、八百八町、吝嗇漢のお揃いとけつからア
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「入(へ)ったナ?」
共同耕作 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「行々子(よしきり)土用(どよう)へ入(へ)えつた見(み)てえに、ぴつたりしつちやつたな」と呶鳴(どな)つたものがあつた。漸(やうや)く靜(しづ)まつた群集(ぐんしふ)は少時(しばし)どよめいた。然(しか)し直(すぐ)に復(ま)た靜(しづ)まつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「俺(おれ)あ、ほんとに腰骨折れっかと思った。眼(まなぐ)さ、汗は入(へ)えっし……」
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)