仏菩薩ぶつぼさつ)” の例文
旧字:佛菩薩
「泣くな。泣くな。せめては今日きょう会っただけでも、仏菩薩ぶつぼさつ御慈悲ごじひと思うがい。」と、親のように慰めて下さいました。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この点は各種の宗教のともに論ずるところなれども、今これを仏教にたずぬるに、仏菩薩ぶつぼさつをもって無上の快楽、無上の知恵を有するものなりという。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
仏菩薩ぶつぼさつはインド風あるいはギリシア・ローマ風の装いをしているのに、何ゆえ護王神の類はシナの装いをするか。それに対してわたくしはこう答えたい。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
瞑目沈思めいもくちんしするかのごとき様子をするからいかにも考え深そうに見えるというのであって果して一般に当てまるかどうか分らないがそれは一つには仏菩薩ぶつぼさつの眼
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
世に、緋、紫、金襴きんらん緞子どんすよそおうて、伽藍がらんに処すること、高家諸侯こうけだいみょうの如く、あるいは仏菩薩ぶつぼさつの玄関番として、衆俗しゅうぞくを、受附で威張いばって追払おっぱらうようなのが少くない。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仏菩薩ぶつぼさつ九九名聞利要みやうもんりえうみ給ふとこそ聞きつる物を、など貧福の事に一〇〇かかづらひ給ふべき。
また地方においてはその各地の地神ちじんあるいはその地方で名高い仏菩薩ぶつぼさつを指して誓います。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかし仏菩薩ぶつぼさつもなくてただ天人のみなる月の都、老いもせず、思うこともなく、しかも「父母ちちはは」というもののある常世とこよの国、それは仏教的な空想ではない。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
大慈大悲は仏菩薩ぶつぼさつにこそおわすれ、この年老いた気の弱りに、毎度御意見は申すなれども、姫神、任侠にんきょうの御気風ましまし、ともあれ、先んじて、お袖にすがったものの願い事を、お聞届けの模様がある。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
傀儡くぐつで悪くば、仏菩薩ぶつぼさつとも申そうか。」
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
別に、仏菩薩ぶつぼさつの、とうとい古像がに据えて数々ある。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)