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てもち
田圃の
榛の
木はだらけた
花が
落ちて
嫩葉にはまだ
少し
暇があるので
手持なさ
相に
立つて
居る
季節である。
田は
僅に
濕ひを
含んで
足の
底に
暖味を
感ずる。
耕す
人はまだ
下り
立たぬ。
小さな
葬式ながら
柩が
出た
後は
旋風が
埃を
吹つ
拂つた
樣にからりとして
居た。
手傳に
來て
居た
女房等はそれでなくても
膳立をする
客が
少くて
暇であつたから
滅切手持がなくなつた。
成るたけ
手持の
商品を
減じて
居つたが、
既に
爲替相場が
上つてしまつて、
其方面から
來る
物價低落がなくなつたからして、
最早安心して
手持を
殖すことが
出來る、
即ち
商取引が
殖える