“かはかぜ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
川風60.0%
河風40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
苦笑にがわらひをしてまた俯向うつむいた……フとくと、川風かはかぜ手尖てさきつめたいばかり、ぐつしよりらしたあたらしい、しろ手巾ハンケチに——闇夜やみだとはしむかうからは、近頃ちかごろきこえたさびしいところ卯辰山うたつやまふもととほる、陰火おにび
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もうしばら炬燵こたつにあたつてゐたいと思ふのを、無暗むやみと時計ばかり気にする母にせきたてられて不平ふへいだら/\、河風かはかぜの寒い往来わうらいへ出るのである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
名もなつかしき梅津うめづの里を過ぎ、大堰川おほゐがはほとり沿ひ行けば、河風かはかぜさむく身にみて、月影さへもわびしげなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
土手どてあがつた時には葉桜はざくらのかげは小暗をぐらく水をへだてた人家じんかにはが見えた。吹きはらふ河風かはかぜさくら病葉わくらばがはら/\散る。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
月の夜毎よごとおそくなるにつれての光は段々えて来た。河風かはかぜ湿しめツぽさが次第に強く感じられて来て浴衣ゆかたはだがいやに薄寒うすさむくなつた。月はやがて人の起きてころにはもう昇らなくなつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)