“卯辰山”の読み方と例文
読み方割合
うたつやま100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
欄にりて伸上れば半腹なる尼のいおりも見ゆ。卯辰山うたつやま、霞が峰、日暮ひぐらしの丘、一帯波のごとく連りたり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
卯辰山うたつやまの山のにあって、霞をまとい、霧を吸い、月影に姿を開き、雨夜あまよのやみにもともし一つ、百万石の昔より、往来ゆききの旅人に袖をあげさせ、手をかざさせたものだった、が、今はない。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
胎毒たいどくですか、また案じられた種痘うえぼうそうの頃でしたか、卯辰山うたつやまの下、あの鶯谷うぐいすだにの、中でも奥の寺へ、祖母に手をひかれては参詣をしました処、山門前の坂道が、両方森々しんしんとした樹立こだちでしょう。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)