一葉の日記いちようのにっき
“ある女——斯の人は夫を持たず了ひで亡くなつたが、彼女の居ない後では焼捨てゝ呉れろと言ひ置いて、一生のことを書いた日記を遺して行つた。” “種々な人のことが書いてあるといふ彼女の日記は、幾度か公にされるといふ噂のみで、その機会なしに過ぎた。 …