黒霧こくむ)” の例文
百里をつつむ黒霧こくむの奥にぼんやりと冬の日が写る。ほふれる犬の生血いきちにて染め抜いたようである。兄は「今日きょうもまたこうして暮れるのか」と弟をかえりみる。弟はただ「寒い」と答える。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)