黒甜郷裡こくてんきょうり)” の例文
耳をどう振っても蝉気せみけがないので、出直すのも面倒だからしばらく休息しようと、またの上に陣取って第二の機会を待ち合せていたら、いつのにか眠くなって、つい黒甜郷裡こくてんきょうりに遊んだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おやと思って眼がめたら、二叉の黒甜郷裡こくてんきょうりから庭の敷石の上へどたりと落ちていた。しかし大概は登る度に一つは取って来る。ただ興味の薄い事には樹の上で口にくわえてしまわなくてはならん。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)