鹽辛聲しほからごゑ)” の例文
新字:塩辛声
木戸に坐つて居る鹽辛聲しほからごゑは、四十前後の不景氣な男で、その頭の上に掛け並べた泥繪どろゑの看板は、存分に下品で、そして存分に刺戟的でした。
木戸番はお倉といふ新造、鹽辛聲しほからごゑの大年増と違つて、こいつは水の垂れるやうな美しさを發散し乍ら、素晴しい桃色の次高音アルトでお客を呼ぶのでした。
恐ろしい勢ひでまくし立てる鹽辛聲しほからごゑとで、東西兩國の香具師やし仲間でも、一番煙たがられてゐる四十女でした。
「止してくれ、手前てめえ鹽辛聲しほからごゑを張り上げると、お月樣が驚いて顏を隱す」