みさご)” の例文
動物のうちにあっては、はとに生まれたものがみさごと変わることは決してない。そういう変化はただ人間のうちにのみ見られる。
或日仕入れの爲海邊の市場に行つて、ぼんやり立つてゐると、海の方から一羽のみさごが飛んできた。あつといふ間に一尾の鯛を把んで空中に舞ひ上つた。
お口を開いて待っていな、と、上差うわさし流鏑矢ながれかぶらや引抜いて、二所とうの弓に取副とりそえ、小松の蔭に馬を寄せ、浪の上なるみさごを的に、きりりや、きりりと、引絞ったりー
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
また他の学者はある種のみさごの前へカンバスで包んだ腐肉を置き、その包みの上に鮮肉の一片をのせた。鳥は鮮魚を食い尽くしたが布切れの下の腐肉には気づかなかったとある。
とんびと油揚 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)