鴃舌げきぜつ)” の例文
まちの人の言葉も、まさか鴃舌げきぜつというほどではなかったが、東京の人の言葉にくらべて、へんに語勢が強く、わかりにくいところが多かった。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
でも、あの時分は放送事業草創時代のことだから、南蛮鴃舌げきぜつのアナウンサーが多少まじつてゐたのかとおもつてゐたら、この傾向はだんだん年と共にひどくなつてゆく。
下町歳事記 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
ふたたび若者同士の会話になると、鴃舌げきぜつのたぐいに戻る。五郎は疎外感を感じながら思う。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
さても鴃舌げきぜつの音、一時ムカとしてもみましたけれど、いやいや、ところかわれば品もかわるのだ、かえって、先方は、こっちの江戸弁——をさげすんで、嘲っているようでもある。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と全く鴃舌げきぜつの感がある。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)