悪きことはさいを見ておのの臆病心おくびょうしんにあるのだから、その温順寡慾かよくなる羊質をもちながら、なおとら驍悍勁厲ぎょうかんけいれいなる質を修めたら、すなわち廉毅忠果れんきちゅうかの性格となりてこれにゆる人格はなかろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)