鑽仰さんぎょう)” の例文
与八の人相そのものを鑽仰さんぎょうすることに急で、挨拶の方も、お礼の方もお留守になっているうちに、すっかり忘れてしまったものでしょう。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おお。あれは……」と、仰山に、鑽仰さんぎょう所作しょさをよろしく演じて、「——まさしく、八幡大菩薩」と、ひれ伏した。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
都から帰って来たこの兄には、自分たちには、はかり知れない新知識が備わり、充分な人生体験と、将来の抱負もあるものと、鑽仰さんぎょうしていた。父に代る太柱ふとばしらが立ったように、力としていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしお婆さんは、最初のうちは、与八の人相の引合いとして三志様なるものを持ち出したのですが、今は、与八の人相はそっちのけになって、鳩ヶ谷の三志様の鑽仰さんぎょうで持切りになってしまいました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)