少くとも発句ほつくは蕉門中、誰もこの俳諧の新発知しんぽちほど芭蕉のびをとらへたものはない。近頃野田別天楼のだべつてんろう氏の編した「丈艸集ぢやうさうしふ」を一読し、殊にこの感を深うした。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)