然し眼前の智恵子は、渠の目には余りに清く余りに美しく、そして、信吾の所謂近代的女性モダーンウーマンで無いことを知つた丈に其不安の興奮が強かつた。自制のこころ酔醒よひざめの佗しさをかき乱した。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
然し眼前の智惠子は渠の目には餘りに清く餘りに美しく、そして、信吾の所謂、近代的女性モダーンウーマンで無いことを知つた丈に、其不安の興奮が強かつた。自制の意が醉ひ醒めの侘しさを掻き亂した。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)